
終活&断捨離のやり過ぎ注意報!税理士目線から。
終活や断捨離という言葉はここ数年流行ってますね。高齢者が自分の相続を見据えて、いらないものを処分したり整理したりすることです。終活や断捨離のカウンセラーなんて職業もありますね。終活と断捨離はいいことですが、税理士目線ではちょっと怖いところがあったりします。
Contents
終活や断捨離が税金の手続きや調査を困らせる事例
終活や断捨離が将来的に相続人の税金手続きや税務調査で困らせてしまう事例を紹介します。勤務時代の事務所が不動産会社と提携していて、毎月50組近い方の不動産の税金相談を受け、資料がなくて困った人をたくさん見てきたからです。
不動産を買ったときの契約書が見つからない
困った事例でダントツで多いのがコレです。先に注意点を述べますね。「不動産購入、建物建築やリフォーム」に関係する書類は終活で断捨離しちゃダメです。理由は税金で損することがあるからです。
※取得費とは?
土地・・・買った金額そのもの
建物・・・購入時やリフォーム時の金額から経年劣化分を引いた金額
不動産会社の相談で多いのは、親の不動産を相続後に売却する場合です。その場合、親が買ったときの金額で取得費を計算します。もし、買った金額がわからないと売却金額の5%扱いになってしまいます。
2000万円で相続した土地を売却した。親が買ったのは昭和40年で当時1500万円だった。
1.契約書あり
(2000万円ー1500万円)*20.315%=102万円
2.契約書なし
(2000万円ー100万円)*20.315%=386万円
※100万円は、2000万円*5%から算出
※マイホーム特例などは説明の便宜上省略しています。
終活&断捨離で契約書を捨ててしまうと、同じ売却でも税金を多く取られてしまいます。ただ、何でも捨てればいいわけじゃないので注意してくださいね。権利書と契約書をセットで残しておきましょう!
相続前20年くらいの大きな出費がわからない
だいぶざっくりした表現ですが、これは相続税の税務調査で困った案件です。税務署は、相続財産に計上もれがないか過去の預金通帳の動きを調べて、相続人に質問してきます。質問には意図が隠されています。
相続税の預金調査については、こんな記事も書いています。
→相続人の通帳に200万入ってるから、お金を貸してたんじゃないの?
相続1週間前に500万円引き出してますけど、これは相続時点でどこに保管してましたか?
→相続時点で現金に残ってるのに財産として申告してないな〜。
→たぶん葬儀費用だから、相続人のだれかが預かってたはず。
親の通帳のことなんて知らない人が多いですが、相続人が聞かれるので困ることが多いです。親族が亡くなった悲しい出来事について、質問攻めにされる姿を見るのは、立ち会う税理士にも辛いものがあります。
相続税の調査は通帳の記録が残っていればいくらでも遡ります。大きな買い物はメモを残したり、通帳にメモしたりしておきましょう。
すでに終活や断捨離をして重要書類を捨ててしまった場合
すでに終活や断捨離で、契約書などをごっそり捨ててしまった方もいると思います。そんな方の場合は、100%ではありませんが、税務署に認めてもらう確率を上げるための方法をお伝えします。
支払いの事実や金額が確認できるものを探す
契約書でなくても、お金を払った事実や金額が確認できれば、税務署が認めてくれる可能性があります。振込票や通帳記録、住宅ローンの返済予定表、土地分譲パンフレットなどいろいろあります。
↓返済予定表
何も書類がなくて、同じ時期に買ったお隣さんに土地の価格を聞いた人もいます。何も手がかりがないよりはあったほうがマシです。相続人が困らないように準備してあげましょう。
書類を再発行したりコピーさせてもらう
例えば、大手の会社にリフォームを9年前に発注したとしましょう。その会社には入金事実や工事内容について、なんらかの書類が残っていることがあります。実際に勤務時代にリフォーム会社に電話して聞いたら15年前の書類が倉庫に残っていて、なんとか出してもらえました。やってみる価値はありますよ。
終活や断捨離の注意点、まとめ
税金目線から、終活や断捨離の注意点を書いてみました。私はモノを捨てるのが好きなので、終活や断捨離自体はとてもいいことだと思います。とりあえず、「ただ捨てればいいわけではない」と最低限覚えておいてくださいね。

作間 祐兵

最新記事 by 作間 祐兵 (全て見る)
- 年末調整がネットで完結!?事務手続きで得する人&損する人 - 2017年8月14日
- 「アフィリエイト100円です!」メールで税理士試験を思い出した珍体験 - 2017年8月7日
- さらば日本ブログ村!ランキングバナーを剥がして軽量化を狙う! - 2017年7月18日